12 ก.ย. 2563

タイ人が簡単にタイ国鉄をまとめてみた:SRT塗装のはなし +α

こんにちは

「タイ人が簡単にタイ国鉄をまとめてみる」シリーズを書き始めて1年、多くの方々に読まれました。自分がこれらの記事を書くにあたり、これまで自分も知らなかったこともいくつか研究、発見することになり、とても勉強になりました。一部の記事において、何回も書き直して申し訳ありません。
(タイトルが進行形になっているのも、そういう意味ですね…)

今回はまた変わった観点から車両に関する話になります。

皆さん以下の点にお気付きになったことありますか。

- 機関車の同じ塗装でも車両によって微妙に違いますよね?
- 2010年代前半に一度新塗装になった機関車なのに、最近また旧塗装に戻っていません?
- 客車の紫塗装も2種類ありますね?そして緑色は?

これは皆さんが少なくとも疑問に思ったことがあるでしょう。

紫塗装の客車(3等車 1000番台のうち150両?)は、2018年より内装が明るくリニューアルされ、車体に銀帯が飾られました...
それは現在の話では合っています。でも銀帯の有無は2010年まで遡らなければいけません。

 まず、タイ国鉄や国のここ20年間の状況をおさらいしましょう。1990年から1996年までのタイ国鉄は機関車・特急型気動車・寝台車をいっぱい導入しました。そして貨物輸送の強化、そしてバンコク都内でも高架化電化計画もあり、1990年から工事が開始されました。

 しかし、1997年にバブル崩壊が発生、7年間の工事がまったく進まないので工事を中断、その造りかけの高架橋がバブルの象徴として残されました。
 また、バブルの影響、及び内部の汚職(と言われる…)の影響として線路の保守、車両のメンテナンスが十分にできず、新設区間以外の線路はとても過酷な状況、そして人為的ミスにより事故が多発しました。これにより予備車不足が続いています。特に特急気動車は最高速度120キロで飛ばして事故ることが多く、被害も相当大きかったです。花形特急Sprinterも在籍数20両のうち半分程度しか使い物になりませんでした。

 同時にオーストラリアや日本からの中古車の導入を始めましたが、日本の譲渡車はすでに車齢が経過していることと、十分なメンテナンスができていないため、結局何でも壊れてしまい、予備車がない状況が続いています。(オーストラリア客車は非冷房で車体もステンレス製なので、メンテが少なくて済むのでかなり長生きですよね。)

 こんな状況が2000年代後半まで続き、さすがにどうにかしないと客から信頼性が取り戻せなくなります。また、2010年に高速鉄道の始まりの一歩となる空港線も開業されます。
 現地の鉄道ファンのコミュニケーション "Rotfaithai.com" というものがあります。国鉄職員との繋がりを持っているメンバーもいます。そして中から
 「色んな車両のリニューアルを計画しているのですか、誰か新しい塗装のアイディアはないか?」
 という声掛けがありました。そして中のメンバーが色んなデザインを作り、投稿して注目を集めた。整備工場と色々協力して、デザイン案が採用された。
最初に出てきたものが(順不同)

THN/NKF 気動車の新塗装化
Alsthom型機関車の新塗装化およびエンジン換装 ほかの機関車も新塗装化
一般客車・寝台客車の新塗装化(一部内装更新)

気動車の新塗装化:青色ベース塗装が採用されました。
ただし Nakhon Ratchasima 専属のRHN型気動車は鉄道ファンが提案したデザインではなく、東北地区の独自の塗装案になっています。
THN/NKF 気動車の新塗装 現在では標準塗装に…

Alsthomの新塗装:登場時の塗装によく似たデザイン。MTUエンジン換装車は青帯、CATエンジン換装車は赤帯が追加されています。これはメンテナンス時に識別しやすいようにしているかもしれません。
ALS4144号(16年撮影)、初めて新塗装となった機関車はこの車両だと思われます。

GE・GEA新塗装:GE新塗装はこれまでになかった黒色や銀色を入れて、若返りました。

GEA型の新塗装…微妙に違う2種類がありますね。当時の鉄道ファンウェブサイトを振り返ってみると、塗装現場で幾度修正があったようです。最初は前面下が直線(4536, 4538, 4550 他)になっていますが、確定版は写真のようにV字、窓下もV字になっています。

日立型の塗装も、初期案は前面に赤帯がなかった(4501, 4510号機)のですが、のちに赤帯入りに修正しました。しかしHID型の新塗装はそんなに数が多くないです。(後日イラストを用意しますね)
(HID 4518, 2013年 動画から切り取り)

一般客車・寝台客車の新塗装化(および内装更新
 2010年に 南東北線の快速列車を皮切りに、3等車、荷物車、食堂車2編成分を新塗装と内装更新を施しました。すべての車両に銀帯が入っていました。


 寝台車においても紫色に順次更新され、一部の荷物車、食堂車も寝台編成に合わせた塗装になりました。(が、運用の都合で色が揃わないことがほとんどです。)
翌年に南線も独自の塗装にアレンジされました。下の銀帯が若干白いです。(そして紫色の車両の銀帯が白になった車両も数両いました。)
 ですが、あまり新塗装化のペースが遅かったのか、12年から一部の車両に塗装の簡略化があったようです。銀帯が省略され、黄色帯が太くなりました。しかし塗装剝がれや色褪せがちょっと目立ちます。

 また、塗装のクオリティーのバラツキには、施工年、箇所における業者の違いから見られるものだと思われます。タイ国鉄は車両の外装内装修理において業者を委託しています。また、機関車の塗装案の微修正も業者側が再現できないという都合もあるんじゃないかと思います。
 一方、業者が仕事を放置する最悪な例もあります。有名な話では客車化改造中のキハ58・28ですね。これはタイだから何でも起こり得る話です。(当然こういう業者はのちにブラックリストに登録されます...)

 機関車に新塗装を施工した機関区も実は限られており、なぜかマッカサン工場内で重要点検された後の機関車は旧塗装のまま出場されることが多いようです。2016年以降になると一度新塗装になった機も入場の際に従来の塗装に戻されることがしばしば見受けられました。

 それは2015年以降登場した塗装は鉄道ファンによる手掛けがなくなったからです。貸切車の塗装と新型寝台客車の塗装、そして新型客車に合わせたHID機関車の塗装もいい感じですね…

 現在の機関車では旧塗装、(ちょっと剥げた)新塗装、そして新塗装の面影が残った旧塗装が見られます。タイ国鉄でちゃんと塗装を統一できたのが気動車と冷房寝台車ぐらいですよね…

まあ、JRの機関車でも数回塗装変更されたり、前の塗装に戻されたりするのと同じと言いましょうか。

長くなって読みにくくなってすみませんでした。でも最後まで読んでいただき感謝します。

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